クライアントは50才代の女性で職業は事務職。全顎的な歯周治療を希望して来院。
約1カ月(通院約3回)
歯周病治療は、通常のスケーリングと部分的な外科手術により改善された。歯周治療の一環として、審美障害を伴う右上前歯部の接着性ブリッジを除去。その後、通常のブリッジタイプの補綴物を作製。本症例は陶材焼付鋳造冠ブリッジにしたが、現在であれば、ブリッジにも適応可能なオールセラミックス(ジルコニア)による修復を考えるべきであろう。
陶材冠と陶材焼付鋳造冠では、強い光が当たった時の自然感に違いが出やすい。通常、歯は光を通す。その際に光は透過と散乱を起こすが、陶材焼付鋳造冠の場合は、内部の金属冠が光を遮断してしまうため天然歯のような光の透過と散乱が起きない。一方陶材冠は、金属の裏打ちがないため、自然な光の透過と散乱が起き、より自然な色調を再現できる。また、歯頸部のメタルカラーがない陶材冠は経時的に歯肉辺縁の退縮が起きても、審美障害は軽微であるという利点もある。
施術から20年経過するが、右上犬歯部の歯肉退縮による歯根と歯頚部のメタルカラーの露出以外に異常は認められない。
陶材焼付鋳造冠は経年的な歯肉退縮(歯肉が下がること)により歯肉に隠れていたメタルカラーが見え、目立つようになることがあります。