50代男性
約8カ月
本症例は50歳代の男性で、上顎前歯部の歯冠修復を主訴に来院(Fig. 1)し、縁下カリエスならびに歯根破折(Fig. 2)によりインプラント治療の可能性を求められ紹介を受けた。歯肉の生物学的形態はシック・フラットタイプであり、破折線による周囲歯槽骨の破壊ならびに周囲歯肉の炎症は軽微であることから、抜歯後即時にインプラントを埋入することとした(Fig. 3) 。この際、当時(2002年)抜歯後の顎堤の吸収を防ぐ目的から、フラップレスにて抜歯即時インプラント埋入が報告されだしており、本症例も適応症と判断し、その術式に則り施術した(Fig. 4) 。 最近の研究報告から、抜歯後、即時にインプラント埋入しても顎堤の吸収は防ぐことは出来ないという報告も見られるが、本症例のように、周囲組織の破壊が軽微である場合、この術式は明らかに審美的な有意性を見ることができる。術後4年、20年を経過するが歯頸線の変化は皆無であり、隣在歯との調和を保っている(Fig. 5) 。
通常のインプラント治療と比べ、本術式は歯肉を剥離せずに埋め込みを行うため、隣在歯の損傷や唇側への穿孔などのリスクが高まります。手術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約3-4日です。