40代女性
約8カ月
本症例は40歳代の女性で、右側上顎小臼歯部の破折の可能性を指摘され来院(Figs. 1- 2)。頬側のポケットは一部深く、また、CTからも破折が確認された。頬側歯槽骨の破壊は軽微であることから、抜歯即時インプラントの適応症と判断し、抜歯窩を極力温存できるように注意を行う(Fig. 3)。特に、近心歯間乳頭と頬側辺縁歯肉へのダメージは注意が必要と思われる。抜歯した歯を見ると、頬側に根尖まで及ぶ破折線が認められた(Fig. 4)。抜歯窩を調整し、インプラントを埋入(Fig. 5)、プロビジョナルを作製する(Fig. 6)。6ヵ月の治癒時間を待ち(Fig. 7)、2次手術もフラップレスにて行う(Fig. 8)。審美性とメインテナンス性を考慮し、上部構造体の接続方式は舌側からのサイドスクリュ方式を採用(Fig. 9)。機能性、メインテナンス性、審美性、全てにおいて理想的な上部構造体が装着されている(Fig. 10)。
通常のインプラント治療と比べ、本術式は歯肉を剥離せずに埋め込みを行うため、隣在歯の損傷や唇側への穿孔などのリスクが高まります。手術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約3-4日です。