本症例は60代の女性で、全顎的な歯周治療を希望して来院。
約8カ月
精査の結果、数本の要抜歯と再生療法による治療が計画された。抜歯された左上第一大臼歯相当部は、上顎洞までの距離は少なく(Fig. 1)、インプラント治療を行うためソケットリフトによる上顎洞拳上術を行った。同部位における骨量の不足は日本人では多く、インプラント治療を行ううえで大きな障害となることが多い。ソケットリフトによる上顎洞拳上術は簡便でなおかつ安全な上顎洞拳上を行うことが出来るが、上顎洞粘膜を穿孔させずに、インプラント周囲の骨をドーム状に拳上させるには、熟練を要する。本症例では、インプラント周囲には十分な骨が増生され、骨もドーム上にインプラントを指示していることがCTからも確認できた(Fig. 2)。
上顎臼歯部のインプラント治療は上顎洞へ障害を及ぼした場合,一時的あるいは継続的な慢性炎症を生じる可能性があります。手術後鼻出血が起こる可能性もあり、術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約1週間です。