40代男性
約8カ月
本症例は40代の男性で、上顎前歯部歯肉の腫脹を訴え某歯科医院へ来院。診査の結果、歯根部の破折が疑られ、紹介を受けた。精査の結果、唇側歯根中央部付近で破折しており、保存不可能と判断。両隣在歯を削るブリッジとインプラント治療を提案したところ、クライアントはインプラント治療を選択した。左側中切歯はう蝕および切端の咬耗がみられたためコンポジットレジンにて修復する必要があったが、右側側切歯は処置をする必要がなかった。よって、本症例においてもインプラント治療が第1選択として考えられ、インプラント治療の有益性を生かせる症例でもある。術式は、時間的な節約と歯間乳頭部の温存を考慮し抜歯即時埋入とした。抜歯後、欠損部の治癒を待ってからインプラントを埋入する方法が一般的だが、抜歯とともに周辺骨の吸収が開始するため、早期にインブラントを埋入し周辺骨の吸収を極力抑えることが術後の審美性に有利とされる。術式は煩雑で、術中の切開や縫合に配慮を必要とするが、条件がそろえば、抜歯即時埋入の効果は大きい。本症例においても、術後の状態は審美的な仕上がりになっている。
通常のインプラント治療と比べ、本術式は歯肉を剥離せずに埋め込みを行うため、隣在歯の損傷や唇側への穿孔などのリスクが高まります。手術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約3-4日です。