50代女性
約8カ月
本症例は50代の女性で、全顎的歯周病の治療を希望して来院。診査の結果、右上大臼歯部は保存不可能のため抜去。右上第一小臼歯は再生療法(エムドゲイン)を併用し保存することとした。右上大臼歯部の補綴を相談したところ、上顎の義歯はどうしても避けたいという強い希望があったため、インプラント治療を計画しCT検査を行った。通常、インプラントを埋入するには最低10mm程度の骨を必要とするが、埋入予定部の骨は7.5㎜程度と少なく、骨増生を必要とした。上顎臼歯部のインプラント治療で骨が十分にあるケースは少ない。その骨を増生させるため、オステオトームによるソケットリフトを併用しインプラントを埋入することとした。
ソケットリフトによる上顎洞挙上術は、生体に対する侵襲が少なく、安全で成功率が高い方法として、1990年半ばにDr.Summersにより紹介された方法である。インプラント埋入窩から、骨移植材を填入し、上顎洞粘膜と骨膜をドーム状に盛り上げ、インプラントを埋入する方法である。この方法を用いると、インプラントが適応できなかった症例にもインプラント治療が可能となる。本症例も、この方法を用いてインプラント治療を行った。
上顎臼歯部のインプラント治療は上顎洞へ障害を及ぼした場合、一時的あるいは継続的な慢性炎症を生じる可能性があります。手術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約2週間です。