本症例は50歳代の女性で、全顎的な欠損補綴を希望し紹介を受けた(Fig.1)。
約14カ月
上顎は3歯残存していたが、2歯は保存不可能と判断し抜歯となった(Fig.2)。抜歯に際し、顎堤の吸収を最小限にするために抜歯即時埋入とした。診断用ワックスアップからサージカルステントを作製し埋入位置を決定したところ(Fig.3)、右上側切歯部のインプラントは頬側の骨の支持がまったくない(Fig.4)。そこで、自家骨(Fig.5)と吸収性のコラーゲン膜(Fig.6)を用い、GBRを併用してインプラントを埋入した。2次手術まで注意深い経過観察を行い(Fig.7)、印象採得を行い(Fig.8)、咬合床を作製(Fig.9)。咬合床により咬合採得を行った(Fig.10)。バイト決定の後、フレームとアバットメントを口腔内で試適し(Fig.11)、パターンレジンにてインデックスを採得する(Figs.12,13)。この作業は、精度の高い補綴物を作製するためには不可欠である。ろう着の後、陶材の焼付が終了した上部構造体には様々な配慮が施されている(Figs.14,15)。舌側からのサイドスクリュ、適度で均一な下部鼓形空隙、歯肉辺縁の陶材仕上げ・・・これら一つ一つを丁寧に仕上げることにより、より完成度の高い上部構造体を口腔内に装着することができる(Figs.16-21)。今後は右上臼歯部と左下臼歯部のインプラント治療を行う予定である。
上顎臼歯部のインプラント治療は上顎洞へ障害を及ぼした場合、一時的あるいは継続的な慢性炎症を生じる可能性があります。手術後のダウンタイム(痛みや腫脹が起こる期間)は約2週間です。