ここでは、歯内療法およびマイクロエンド症例について紹介しています。
全顎的にう蝕傾向が強くカリエスリスクの高い症例であり、義歯も臼歯部のバーティカルストップが不確実であるため、咬合高径の低下を認めた。欠損部位ならびに予後不良歯の抜歯後の補綴は、インプラント治療を希望されたため、全顎的な咬合挙上を含めた咬合の再構築を行う治療計画を立案。インプラント治療により確実なバーティカルストップを獲得し、咬合挙上した対合関係は維持されている。治療前は軟食系の食べ物しか食べられなかったが、現在では通常食となり、健康増進とQOLの向上を図ることができた。
右上小臼歯辺りが咬むと痛いとの主訴で来院。デンタルX線写真を撮影すると、根尖部の根充材が粗であることから、感染根管処置を開始、根充材を除去し、根管内の洗浄を行い、根尖からの排膿も認められなかった為、根管長測定後、通法に従い根管充填を行った。その後痛みは改善された。
右上前歯に違和感があるとの主訴で来院。デジタルX線写真撮影により右上2番の根尖部遠心に透過像が認められた。感染根管治療を行い、根充後違和感は消失。術後のレントゲンは7年後に撮影したものであるが、透過像は消失している。
左下の親知らずに痛みがあり来院。デンタルX線写真を撮影したところ左下7番遠心に透過像を認めたため、8番の抜歯後、治療を開始。7番は最初は痛みがなかったが、8番抜歯後に冷たいものにしみるようになり、痛みが増加したため抜髄処置に至る。遠心根根尖が湾曲しており、ニッケルチタンファイルにて根管治療行う。
右上前歯が痛いとの主訴で来院。歯肉の腫れはないが、何もしなくても痛みあり。デンタルX線写真を撮影したところ右上1番・2番の根尖部を含む大きな根尖病巣と思われる透過像を認める。根管治療を行い根充後しばらくは違和感が続いたため、違和感消失後、補綴処置に至る。術後8年を経過しているが問題なし。
右上6番根管治療を進めると第4根管が見つかり、4根管の根管治療を行う。 他全顎的に治療を進める。根充後のCT撮影により4根とも根充材が密に充填されていることが確認される。
左上の歯が冷たいものにしみて、咬むと痛いとの主訴で来院。左上5番に齲蝕による実質欠損が認められ、左上5番・6番に打診痛があった。デンタルX線写真を撮影したところ左上5番遠心に透過像を認め、6番の根管内にシルバーポイントと思われる像が認められた。5番抜髄後根管充填後には咬合痛消失するが6番の咬合痛は消失しないため、根管治療を開始する。マイクロスコープ下にてシルバーポイントを除去し、根管充填を行い、症状は改善された。
前医に破折器具が根管内にあることを指摘され、当院に紹介され来院。デンタルX線写真を撮影したところ近心根にファイルの破折が認められ、根尖相当部に透過像が認められた。自覚症状はない。マイクロスコープ下にて破折ファイルを除去し、根管充填を行う。その後患者の都合で来院が途絶えるも、1年6か月後に再来院し、補綴から治療再開を希望されたため、デンタルX線写真を撮影したところ、近心根根尖相当部の透過像も認められない。自覚症状もなし。
上部構造物の脱離を主訴に来院。デンタルX線写真を撮影したところ近心根に器具の破折が認められ、根尖相当部に透過像が認められた。咬むと違和感があるとのこと。根充材を除去すると近心根内壁にストリッピング(パーフォレーション)が認められた。マイクロスコープ下にて破折ファイルを除去し、MTA系のシーラーを用い根管充填を行う。 2年3か月後メインテナンス時にデンタルエックス線写真撮影を行う。痛みもなく経過は良好である。