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症例集

ここではインプラント治療を行った症例について紹介しています。
インプラント症例25
術式:GBR+インプラント
インプラント症例25

本症例は40歳代の女性で、下顎臼歯部のインプラント治療を希望して紹介を受けた。欠損部は高度の骨吸収を認め(Fig. 1)、幅には問題がない(Fig. 2)が、下顎管までの距離が少なく十分な長さのインプラント埋入するには、垂直方向に約3mmの骨増生(GBR)が必要となった(Fig. 3)。1次手術時に採取される自家骨を用い(Fig. 4)、ゴアテックス膜を併用し骨増生を行った(Fig. 5)。この際、内部のボリュームが増えるため、フラップ弁の閉鎖は困難となる(Fig. 6)ため、減張切開を入れ(Fig. 7)、創面を完全に閉鎖する(Fig. 8)。骨増生のポイントは、減張切開と縫合にあるので、丁寧な処置が必要となる。術後2週間で抜糸を行うが、創面の裂開がないかをチェックする(Fig. 9)。1次手術後数ヶ月で2次手術と同時に、ゴアテックス膜を除去(Fig. 10)。直下には新生組織を認める(Fig. 11)。カバースクリュー上の新生組織を除去しヒーリングアバットメントを設置。付着歯肉の確保を目指し、縫合は緊密に行わない(Fig. 12)。2週間後に抜糸を行うが、ヒーリングアバットメント周囲に角化歯肉を認める(Fig. 13)。上部構造体は高精度の舌側サイドスクリュー方式を採用しているため、フレームとアバットメントの試適を必ず行い(Fig. 14)、口腔内でろう着用のインデックスを採得する(Fig. 15)。口腔内のろう着用インデックスは非常に重要で、この作業により印象材や模型材の数μmの誤差を解消することができる。舌側サイドスクリュー方式では、セメント方式と違い、僅かな誤差(数μm)で装着が出来なくなるので注意が必要である。良好に管理されたヒーリングアバットメント周囲の歯肉に炎症症状はなく(Fig. 16)、また、ヒーリングアバットメントにもプラークの付着は極めて少ない(Fig. 17)。審美的にも、機能的にも十分な上部構造体が装着された(Fig. 18)。

インプラント症例21
術式:抜歯即時インプラント(フラップレス)
インプラント症例21

数年前に4前歯を補綴したが、2ヶ月前より、右上中切歯にフィステル (瘻孔)を認めるようになった(Fig.1)。精査の結果、歯根も外部吸収して短くなっており、また破折線、歯根嚢胞も確認できたことから保存不可能と判 断した(Fig.4)。抜歯後の補綴を相談したところ、インプラント治療を希望され、抜歯即時インプラント埋入を行った(Fig.5)。抜歯即時インプラ ント埋入では、抜歯窩の徹底した掻爬ならびに無菌化が必須である(Fig.3)。クライアントのQOLまたは術後の審美性確保のために抜歯即時インプラント埋入後、即時にプロビジョナルレストレーションを調整した(Fig.6)。抜歯即時にプロビジョナルを調整し、もとあった歯肉の形態を温存することによ り、良好な歯肉形態を得ることが出来る(Fig.7)。1次手術をフラップレスで行い、極力、周囲組織の退縮を抑えることができたので、2次手術もフラッ プレスで行う(Fig.8)。この2次手術をフラップレスで行う方法はどのインプラントシステムでも行うことが出来るわけではない。本症例にはアストラ テックインプラントを使用。
再び、エマージェンスプロファイルを温存するために、プロビジョナルをハイポリッシュし調整する (Fig.9)。ラボサイドへ色調のオーダーをするが、両側切歯は標準的な色調となっているため、比較的色の調和は簡単である(Fig.10)。抜歯即時 インプラント埋入からほぼ7ヶ月。歯肉形態の変化を最小限に抑えた情報を正確にトランスファーする(Fig.11)。インプラント部も重要だが、隣在歯の マージン下部最低0.5mmの印象が印記されていないと、ラボサイドへ正確に情報が伝わらない(Fig.12)。歯科医師のパーフェクトな仕事にのみ歯科 技工士もパーフェクトな仕事を提供することが出来ることを常に念頭に置くことは大事なことである。若干の歯肉退縮を改善するため、歯頸部をレスカウンター (Sシェイプ)にし(Fig.13)、約一ヵ月後には歯肉のせり上がり(クリーピングアタッチメント)がおきてきた(Fig.14)。更に1ミリ程度歯冠 側に歯肉を上げるために、レスカウンターを与え(Fig.15)、最終的にインプラントと天然歯の調和が取れ満足のいく結果となった。