ここではインプラント治療を行った症例について紹介しています。
本症例は50代前半の男性で、全顎的歯周治療を希望して来院。歯周治療の一環として、患歯(右下臼歯部)の不良補綴物を除去した。最終補綴物の検討を行った際、ブリッジまたはインプラントによる補綴処置を説明したところ、インプラントを希望。本症例は、一見インプラントにするメリットは少ないように感じられるが、支台となる歯は咬合負担能力も低下しており、また、右下第2大臼歯は近心傾斜をしていることから、ブリッジによる不自然な咬合分散は支台歯にとってリスキーであると判断した。また、3歯が一体となるブリッジよりも、歯が孤立することになるインプラントの方が、将来のリスク分散となりうる。
本症例は50代前半の女性で、上顎右側小臼歯部の欠損をインプラントにしたいと希望し来院。精査の結果、十分な骨質と骨量があるため、通法に従いインプラントを埋入した。本症例は、インプラント治療のメリットを最大限に引き出せる症例である。つまり、隣在歯は未処置歯であり、ブリッジにするには歯質の損失が大きすぎる。そこでインプラントにすることにより、隣在歯には全く手を着けずに、欠損を補うことができた。 術後の写真は、5年が経過しているか、極めて良好にコントロールされている。
本症例は60代前半の女性で、左側臼歯部の欠損部をインプラントにしたいと希望。精査の結果、抜歯後の骨欠損部の快復が思わしくなく、インプラント埋入に十分な骨質と骨量を獲得することができないと判明した。よって、インプラント埋入時に骨増生術(GBR)を併用することとした。術後は一部ゴアテックス膜の露出が見られたため、洗口剤にて感染コントロールを行った。 写真は術前と術後であるが、術後写真は上部構造物装着1年後の状態である。
本症例は40代前半の女性で、右側臼歯部の局部床義歯をインプラントにしたいと希望し来院。精査の結果、十分な骨質と骨量があるため、通法に従いインプラントを埋入した。写真では分かりづらいが、第二小臼歯相当部の頬側には十分な付着歯肉幅がなかったため、インプラント二次手術の際に歯肉弁側方移動術にて十分な付着歯肉を獲得している。術後の写真は、術後2年が経過しているが、極めて良好にコントロールされている。
検査の結果、インプラント埋入に際し十分な骨量がなかったため骨増生術(GBR法)により、骨量を増やしてから埋入した。また智歯相当部に1本傾斜埋入し、2歯を3本のインプラントで支持する形態とした。
精査の結果、右上中切歯は根尖までに及ぶ骨吸収、動揺度3度を呈し保存不可能と判断。また、他部位にも歯周疾患が認められたため、全顎的な歯周病治療と右上中切歯にはインプラント治療を提案。右中切歯抜歯即時に骨増生術(GBR)を併用しインプラントを植立した。本症例の場合、骨吸収が著しく、骨欠損量も大きいことから、オトガイ部より自家骨移植+ゴアテックス膜を用いGBRを行った。その結果、右中切歯部の歯肉退縮を最小限に留めることができ、審美的にはギリギリのラインを守ることができた。
上顎前歯部は某歯科医院にて数年前に補綴治療を行われたが、右上側切歯(12)の不調と審美的な問題を抱え、紹介元に来院された。精査の結果、右上側切歯(12)はパーフォレーションしており保存不可能と判断。また、クライアントは審美的要求(歯冠の形態修正や歯肉のメタルタトゥの除去なども希望)が強いことから、当院へ紹介となった。右上側切歯(12)の補綴について、相談したところインプラントによる補綴を希望されたため、抜歯即時埋入で極力周囲組織を温存することとした。また、右上中切歯(11)から左上側切歯(22)までをジルコニア冠にて再修復を行うこととした。メタルタトゥは歯肉の退縮(リセッション)を懸念し、可能な限り除去を行うことで了承を得た。術後3年目の写真からも良好な状態が維持されているのがわかる。
本症例は30代の女性で、下顎臼歯部のインプラント治療を希望し紹介を受けた。臼歯部は第一小臼歯を除き、全て抜去されており著しい咀嚼不全を認める(Fig. 1)。現在入れている義歯は数年前より使用しているが、違和感が著しくインプラント治療を強く希望。CT診査の結果、一部骨量が不足していたため(Fig. 2)、ドリリング時の切削骨片(Fig. 3)を採取しゴアテックス膜(Fig. 4)を用いた骨増生法(GBR法)を併用してインプラントの植立を行った。術後の経過は良好で、膜の露出もなく(Fig. 5)、3ヵ月後の2次手術時において、インプラント周囲の骨欠損は完全に新生骨で満たされていた(Fig. 6)。良好な周囲組織を得る為には良好な術後管理が必要である。インプラント周囲には炎症症状は認められず、健康な歯肉により形成されたインプラント周囲組織を観察できる(Fig. 7)。通法により上部構造体を作製。歯冠形態、咬合機能共に限りなく元の状態に再現されている(Figs. 7,8,9)。