ここでは、歯周治療および予防歯科症例について紹介しています。
全顎的にう蝕傾向が強くカリエスリスクの高い症例であり、義歯も臼歯部のバーティカルストップが不確実であるため、咬合高径の低下を認めた。欠損部位ならびに予後不良歯の抜歯後の補綴は、インプラント治療を希望されたため、全顎的な咬合挙上を含めた咬合の再構築を行う治療計画を立案。インプラント治療により確実なバーティカルストップを獲得し、咬合挙上した対合関係は維持されている。治療前は軟食系の食べ物しか食べられなかったが、現在では通常食となり、健康増進とQOLの向上を図ることができた。
全顎的に歯周治療が必要と診断され、歯周治療の後に口腔機能回復治療を行う。審美的ならびに清掃性を考慮しジルコニア冠にて補綴を行うこととした。
フルマウスエックス線写真(14枚法)と歯周組織精密検査の結果、全顎的に中等度から重度の歯周炎が認められ、左上第二大臼歯(27)は保存不可能(抜歯)であった。また、右上臼歯部(17-14)および右下臼歯部(46-44)にはエムドゲインを応用した再生療法を行い、その他についても全顎的歯周外科手術を行った。
また、著しい歯列不正が口腔清掃状況に悪影響を及ぼしているため、全顎的な歯列矯正を行った。
術後写真は、術後3年の状態であるが歯周組織の状態は安定している。
精査の結果、全顎的な歯周治療と咬合再建が必要と診断された。歯周治療において、保存可能歯と判断された歯も咬合負担能力は低下していることが多く、残存歯の永続的な咬合参加を可能にするには、欠損部の咬合負担をいかに残存歯に分散させるかが重要な要素といえる。 本症例では,臼歯部の確実なバーティカルストップを得ることにより前歯部のフレアアウトを改善。また、保存された残存歯の負担を軽減させるために積極的にインプラント治療を適応させた。 歯周治療において、ダメージを受け咬合負担能力が低下した残存歯を保護するという観点から、インプラント治療は非常に有効な欠損補綴と考える。全顎的な歯内・歯周・補綴治療を行うことで、予知性の高い治療を行うことができた。
全顎的に多発性の齲蝕を認め、また歯周疾患も認めたため、齲蝕のみの処置では不十分と言うことを説明し、歯周治療を主とした治療を行った。精査の結果、上顎中側切歯は保存不可能なため抜歯。全顎的な歯周外科手術により残存歯は良好に保つことができた。縁下カリエスのため歯冠長延長術(クラウンレングスニング)を行っている。
精査した結果、侵襲性歯周炎と診断し、通常の歯周治療と同時に、薬物療法を行った。全顎的に中等度から重度の歯周炎が認められたが、右下第二小臼歯のみの抜去に留める事ができた。写真下段は、抜去された第二小臼歯である。多量の歯石が認められるのが分かる。本症例も家族性を認めた。
精査した結果、全顎的に中等度から重度の歯周炎が認められ、特に左上犬歯と第一小臼歯、第2大臼歯は保存不可能であった。また、左上大臼歯も保存には適さないと判断したが、抜去してしまうと義歯の装着を余儀なくされるため、近心頬側根のみ抜去を行った。臼歯部は外科を行っている。術後写真は、術後3年の状態であるが歯周組織の状態は安定している。
精査した結果、全顎的に中等度から重度の歯周炎が認められたものの、抜歯に至る歯はなかったため、通常の歯周治療(歯周外科を含む)を立案。 全顎的な歯周治療に伴い、補綴、う蝕、歯内処置を行った。臼歯部は全て外科処置を行っている。 術後は3年目の写真であるが、歯周組織の状態は安定している。
臨床所見から全身疾患を疑い、内科への受診を促したところ、重度の糖尿病と判明。内科的な治療と並行して歯周治療を行った。写真は上部が術前、下部が術後で、メインテナンスに入り5年目の状態である。前歯部の歯間離開までの治療は希望していないためそのままである。
多発的なう蝕による修復処置や歯内処置が古くなっており全顎的な歯科処置が必要になった症例である。特に下顎白歯部はパーフォレーションなどが目立ち、予後としては疑問を残さざるを得ない処置となったが、歯周処置としては非外科的処置とした。 歯周基本治療として、口腔衛生指導、スケーリング&ルートプレーニング、う蝕処置、歯内処置を行い、特に下顎左側大臼歯部の2本には髄床底付近にパーフォレーションが認められたため、両根管処置の後、アマルガムにて穿孔部を閉鎖。築造の後、金属冠(白金加金)を作製した。同じようにインレーも全て白金加金で作製し、上顎右側のブリッジと無髄歯であった上顎左側犬歯は陶材焼付鋳造冠にて補綴を行った。 術前写真は1994年、術後写真は術後3年が経過した1999年に撮影されたものである。現在も半年に1度のメインテナンスに通っており、状態は安定している。
「左上犬歯の歯根が露出してしまい気になる」とのことで歯科矯正専門医より紹介。犬歯付近の歯根露出は特に若い女性にしばしば認められる審美障害である。女性の犬歯付近の歯肉と歯槽骨は、男性に比べ薄く、また口腔衛生状態を過度に気にしやすく歯根露出は出現しやすい。 根面被覆の方法は様々だが、通常の歯肉移植術では審美的に問題が残ることが多くまた、経時的な後戻りが多いとされるため、本症例では非吸収性の遮断膜(ゴアテックスTRメンブレン)を設置して、より理想的な根面被覆を確立した。術後15年の状態でも、ほぼ100%の根面被覆がされており、歯肉の形態や色も良好で、後戻りの徴候も見られない。
話したり、笑った時に歯茎が見えすぎてしまうことにコンプレックスを感じているとのこと。13-23歯頸線(写真赤線)を基準に、上顎6前歯の辺縁歯肉を切除。術後10か月で若干の後戻りは見られるものの、生理学的に正常な歯肉ラインを保てている。