ここでは審美的治療を行った症例について紹介しています。
全顎的にう蝕傾向が強くカリエスリスクの高い症例であり、義歯も臼歯部のバーティカルストップが不確実であるため、咬合高径の低下を認めた。欠損部位ならびに予後不良歯の抜歯後の補綴は、インプラント治療を希望されたため、全顎的な咬合挙上を含めた咬合の再構築を行う治療計画を立案。インプラント治療により確実なバーティカルストップを獲得し、咬合挙上した対合関係は維持されている。治療前は軟食系の食べ物しか食べられなかったが、現在では通常食となり、健康増進とQOLの向上を図ることができた。
全顎的な補綴治療を希望し紹介を受けた。全顎的に軽度から中等度歯周炎があり(Fig. 1, 2)、歯周病治療と共に義歯をはずしインプラント治療を行う計画を立案した。歯周病治療のみならず、装着されている補綴物は不良で、咬合平面も不ぞろいであるため、全ての補綴物は撤去し、根管治療も全て再治療を行う。義歯の装着されていた顎堤は、比較的良好で、インプラント治療に最適な骨量であった(Fig. 5)。通常埋入によりインプラントを行い、適正な咬合平面を付与した(Figs. 3, 4, 6)。
本症例は40代の女性で、上顎前歯部の審美改善を主訴として来院した。全顎的に歯周病治療を行い、右上臼歯部(17,16,15,14)はインプラント治療を行った。上顎前歯部ならびに左側臼歯部は、陶材焼付鋳造冠ブリッジとした。
上顎前歯部は歯肉退縮、下顎前歯部は中等度の咬耗と歯列不正により審美障害を呈している。上顎6前歯はジルコニア冠による歯冠修復を、下顎4前歯はラミネートべニアにて改善。
全顎的に歯周治療が必要と診断され、歯周治療の後に口腔機能回復治療を行う。審美的ならびに清掃性を考慮しジルコニア冠にて補綴を行うこととした。
冷たいものを食べると痛むとのことで来院。精査の結果、左上4番(24)遠心にカリエスを認めた。通報に従い、う窩の開口、軟化象牙質の除去を行い、コンポジットレジン充填を施術した。
上顎前歯部は某歯科医院にて数年前に補綴治療を行われたが、右上側切歯(12)の不調と審美的な問題を抱え、紹介元に来院された。精査の結果、右上側切歯(12)はパーフォレーションしており保存不可能と判断。また、クライアントは審美的要求(歯冠の形態修正や歯肉のメタルタトゥの除去なども希望)が強いことから、当院へ紹介となった。右上側切歯(12)の補綴について、相談したところインプラントによる補綴を希望されたため、抜歯即時埋入で極力周囲組織を温存することとした。また、右上中切歯(11)から左上側切歯(22)までをジルコニア冠にて再修復を行うこととした。メタルタトゥは歯肉の退縮(リセッション)を懸念し、可能な限り除去を行うことで了承を得た。術後3年目の写真からも良好な状態が維持されているのがわかる。
フロスをかけたときに違和感を感じ来院。精査の結果、右上5番(15)近心にカリエスを認めた。右上4番(14)遠心にはCR充填がされ若干のカリエスを認めたため、15,14のカリエス治療を行った。最小限の歯質の削除により、コンポジットレジン充填でも、良好な機能と審美性をかねた治療とすることができた。
上顎右側中切歯(11)の陶材焼付鋳造冠の切端部が欠けたために来院。4前歯(12 11 21 22)の再治療と歯肉のメラニン色素の着色除去を希望。エックス線検査の結果、根管充填の不備も認められたため、再根管治療を行った後にファイバーポストを装着し、セラミックスクラウンを装着。後に、メラニン色素を電気メスで除去した。術後の写真は、メラニン色素除去後10ヶ月であるが、後戻り傾向は見られず、良好な経過をたどっている。
臼歯部の崩壊と、極度のブラキシズム(歯ぎしり)のため、前歯部の切端は異常咬耗を示していた。臼歯部はブリッジとインプラント治療により咬合挙上を行い、前歯部はコンポジットレジンによる修復を行うことを計画した。前歯部の形態は臼歯部での垂直的な咬合と顎運動時の動的な咬合に深く関与する。特に臼歯部の垂直的咬合関係が低位になると、下顎前歯部は上顎前歯部を突き上げ、上顎前歯部のフレアアウトか歯冠部の異常咬耗を引き起こす。前歯部だけの修復では物理的に不可能であり、仮に前歯部だけの修復で審美改善が出来たとしても、速やかな破壊が再び起こることになる。本症例でも臼歯部の垂直的咬合関係を改善したのちに、前歯部の修復を行ったが、とくにブラキシズムへの考慮としての犬歯ガイドは必須である。通法に従い、コンポジットレジンで修復した後に(Fig.2- 4)、カットバック(Fig.5)を行う。切端部だけではなく、歯面とコンポジットレジンとの移行部も細かなカットバックを入れレイヤリングテクニックを用いることにより、移行部が目立たなくなる。ブラキサーに対する咬合再構成では、犬歯ガイドをやや強調して行うことにより、臼歯部ならび に4前歯の咬耗は防止され、歯ぎしりも停止させることができる。
前医にてプロビジョナル(仮歯)を装着したが、歯肉辺縁の不ぞろいにより著しい審美障害を呈している(Fig.1)。装着されていたプロビジョナルを修正したところ、歯頸線の不調和が明らかとなったため(Fig.2)、歯肉整形を行うこととした(Fig.3)。約1ヶ月の治癒期間を待ち(Fig.4)、最終補綴へと移行した(Fig.5)。 支台はファイバーポストを用い、クラウンはオールセラミックスとした。写真(Fig.6)はオールセラミックスクラウン装着後1年の経過であるが、歯肉の後戻りは認められず良好な状態を保っている。
上顎前歯部の審美障害を主訴に来院。4前歯は失活しており、右側切歯は唇側に傾斜していた(Before)。クライアントは形態的のみならず、色調の改善も含めて前歯部の審美回復を希望しており、両犬歯はラミネートベニア、4前歯はオールセラミックスクラウンによる修復を行うこととした(After)。 オールセラミックスクラウンの施術に先立ち、4前歯はファイバーポストを植立し、オールセラミックスの特徴を最大限に生かすように配慮した。両犬歯は側方ガイドを変えないためにも舌面形態に変更を与えることのない、ラミネートベニアにて審美回復を行った。