ここでは審美的治療を行った症例について紹介しています。
精査の結果上顎前歯部は、左上中切歯(赤矢印)以外は歯冠の崩壊が著しく、オールセラミックスクラウンで、また、左上中切歯(赤矢印)ラミネートにて修復を行う計画を立案。更に、両中切歯間の正中離開が存在し、通常の歯冠形態では、審美的な問題が生じてしまうため、歯冠形態をハーフポンティックにすることにより閉鎖して審美性を高めた。
精査の結果、両中切歯、左上側切歯(赤矢印)は失活しておリ、根管治療の後に、ファイバーコアを植立。補綴はオールセラミックスによる全部被覆冠とした。また、右上側切歯(青矢印)は切端が咬耗しておリ全体的なバランスを考え、コンポジットレジンによる修復を行った。クライアントは、歯冠部の色の他に、左側切歯の舌側傾斜と右側中切歯の近心捻転を改善したいと希望していた。また、顔型は卵円形で小顔であリ処置前(ビフォー写真)の前歯の形態では調和が取れていなかったため、術後(アフター写真)の様な形態に変更することにより顔形との調和ならびに歯列不整の改善を行った。
矯正治療後、前歯部の審美障害も改善したいとのことで紹介を受けた。 精査の結果、左上2番(赤矢印)以外は失活歯で、金属コアが入っていたため、ファイバーコアに変更した。オールセラミックスによる治療で、生活歯と失活歯が混在する1ブロックで治療を行う場合、光の加減で、同じシェードにしても色が違って見えてくるばかりか、歯肉に光の透過性の相違から生じる明暗ができてしまうことがある。 本症例のような場合、失活歯を極力生活歯の自然感に合わせるには、コアから非金属のマテリアルを選択し、人工エナメル質とも言うべきオールセラミックスにて修復することが、より天然歯に近い結果をえるポイントと言える。
咬合診査の結果、ラミネートベニヤで治療が可能と判断したが、右上顎犬歯の咬耗(赤矢印)を改善させないと、右側方運動時に同側側切歯が干渉してしまうため、犬歯のビルドアップを行う治療計画を立てた。 右犬歯はコンポジットレジンにてビルドアップし、側方運動時のガイドは犬歯誘導とした。また、左右側切歯はラミネートベニヤにて、ほとんど削ることなく審美性の回復を行った。
上顎前歯部は度重なるカリエス処置のためCRの継ぎ接ぎとなっており、また二次カリエスやエナメル質の実質欠損や歯列不正などもあり極度の審美障害を呈している(Before)。精査の結果、歯肉整形を行い、上顎前歯部の歯冠長を長くし総合的な審美回復治療を立案したが、外科的な侵襲は極力さけたいという希望で、現在の歯肉レベルは変えずに、補綴的に歯冠長を長くすることとした。しかし暫間被覆冠にて歯冠長をのばした形態を提示したところ、クライアントの家族の方々に失笑され、極力、もとの歯冠長で修復をはかりたいと希望。顔貌も小顔で、下顎前歯部の歯冠も短いということからも、最終補綴は写真のようなものとなった(After)。
患歯(白矢印)は他院にて根管治療を綴り返すが症状の改善が見られなかった。精査の結果、患歯はパーフォレーション(穿孔)を起こしており、保存不可能と判断し抜歯となった。患歯の抜歯後、ブリッジにて欠損補綴を行うところ、支台歯の遠心部(赤矢印)臼後隆起の肥厚を認め、歯冠長が不足している(Fig.1 )。エックス線検査とボーンサウンディングの結果、13mmの線維性歯肉の増殖と判断でき、フラップ手術ではなく、電気メスによる歯肉整形を行った(Fig.2)。Fig.3は術後1週間の状態であり、良好な治癒を観察できる。外科的な侵襲を加えた後の歯肉の安定には約3ケ月程度の期間が必要であることから、術後3ケ月を待って、最終支台歯形成と印象採得を行い、陶材焼付鋳造冠ブリッジを装着した(Fig.4)。
患歯(白矢印)は充填されたコンポジットレジンが古くなっており、またエナメル質の亀裂も認められるためラミネートべニアを行うこととした。しかし患歯の隣の歯(赤矢印)は数年前にラミネートベニアを他院にて行われており、シェード(色)を合わせるのは難しい。前歯2本の施術をクライアントに勧めるが、同意を得られなかったため、極力シェードを合わせると言うことで患歯のみ、ラミネートベニアを行った(術後-1)。術後やはり、微妙な色の違いが生じたため、側切歯のコンポジットレジンのやり直しも行い、両中切歯にラミネートベニアを新製した(術後-2)。
前歯部歯肉の腫脹を主訴に来院。患歯は数年前に外傷により脱臼して再植している。歯根部は外部吸収しており、動揺度は3度。保存不可能と判断し抜去した。抜歯の際に、歯槽骨の吸収を最小限にするため、抜歯窩に骨移植材を充填している。両隣在歯は未処置歯なため、インプラント治療を選択したいが、クライアントは職業上、前歯部に外傷を受けやすい。そのような場合、インプラントは禁忌であるため、歯質の削除をせずにすむ、接着性ブリッジによる欠損補綴を選択した。近年の接着性ブリッジは接着技術の向上により、ほとんど歯質を除去しなくても良好な予後を得ることができる。また、強い外力が加わった場合でも、隣在歯への影響も少なく、今回のようなケースでは第1選択と考えられる。
上顎前歯部の色(Fig.1-1)に透明感がなく、また突出感(Fig.1-2)があるという訴えであった。装着されていた陶材焼付鋳造冠をはずし、支台を金属コアからファイバーコアに変更。突出感を押さえるため、歯軸をコアにより変更し、オールセラミックスクラウンを装着した(Fig.2-1)。また、両中切歯のみの変更では前歯部の形態のバランスが悪化すると考えられ、また両側切歯にう蝕も存在したことから、コンポジットレジンによる若干の形態補正を行っている。結果、上顎前歯部全体のバランスもよくなっており、色調・形態ともに満足のいく結果が得られた。
上顎両中切歯と左側切歯に辺縁不適合の陶材焼付鋳造冠が装着され、残存歯質も二次う蝕と金属の腐食のため著しく着色していた(Fig.1)。う蝕と着色歯質を極力削除しファイバーコアを装着。両犬歯の歯頸部にあったう蝕を処置し、全顎的な歯の漂白を行った。通常、ホワイトニング後に補綴物の色を合わせるが、今回はスケジュールの都合上、あらかじめホワイトニング後のシェード(色)を予想し前歯部の補綴物を作製した(Fig.2)。結果、補綴物はホワイトニング後の色調にマッチングしている。 補綴後の歯頸線の位置は不揃いであることが悔やまれるが、左側切歯の歯頸線を右(青線)に合わせることは不可能であった。
左上中切歯の歯冠は破折しており、緊急処置にて破折片を接着している(Fig.1)。クライアントは前歯部の歯列不正も気にしており今回の施術の際に修正を希望。患歯歯髄反応の有無を判断するため、2ケ月程度の経過観察期間を経て、通法に従いセラミックス冠のための形成を行った。右上中切歯は、う蝕と歯列不正のため同じように、セラミックス冠とした。また、両側切歯はコンポジットレジンにて、う蝕処置をしている。 今回、歯頸線の不揃い(Fig.1-白線)は、外科的な手法を用いず、歯冠部の豊隆を変更することにより、極力改善させた(Fig.2-白線)。Fig.では右上中切歯は唇側および遠心へ傾斜しており、また近心捻転している。 これを補綴的に改善したため、歯頸部歯肉のせり上がりが起き、歯頸線の歯冠側への移動が起きているのがわかる.また、患部の清掃状態は不良であり(Fig.1)、歯肉の発赤腫脹が認められたが口腔衛生指導の徹底により改善している(Fig.2)。
初診時の歯頸線および切端線は不揃いで、歯頸部には陶材焼付冠のメタルカラー部が黒く変色して露出してきているため、著しい審美障害を呈している(術前写真)。 施術は、まず歯肉整形から行い、歯頸線を整えた(Fig.1)。続いて陶材焼付冠とメタルコアを除去し、ファイバーコアを装着後(Fig.2-3)、TeCを作製した(Fig.4)。歯肉が完全に治癒するのを待ちながら最終形成とTeCの調整を行い、オールセラミックスにて歯冠修復をおこなった(術後写真)。 今回、幸いにも両犬歯は未処置であり、その歯頸線(写真上赤線)と切端線(写真上青線)を目安に前歯部の審美性回復を行えた。