ここでは、実際に行われた症例をご紹介しています。詳細をご覧になる方は各症例をクリックして下さい。
全顎的に歯がしみるということで来院。う蝕処置および歯周処置が終了したのち、前歯部歯肉のメラニン色素の除去を希望(Fig.1)。メラニン色素の除去は薬剤を用いる化学的除去法や回転切削器具を用いる物理的除去法などが挙げられるが、術後の疼痛や術式の簡便さなどに不満が残る。そこで本症例では、レーザー(Nd:YAG)を用い、蒸散によるメラニン色素の除去を行った。レーザーによる蒸散では、術後疼痛も極めて少なく、術式も簡便でメラニン色素の除去には非常に効果的である。写真(Fig.2)は、照射後1週の状態であるが、メラニン色素はほぼ除去されている。
笑顔が醜いという主訴で依頼された。精査の結果、元々前歯部は空隙歯列であり、両中切歯(白矢印)にコンポジットレジンを盛ることにより幅径を大きくしてあった。そのため、歯冠長と歯冠幅のバランスは悪く、また歯頸線も歯冠側に位置することから、著しい審美障害を呈していた。診断用の模型とグラフィックから、理想的な歯頸線をシミュレートした結果、両中切歯に関しては理想的な歯頸線にしてしまうと、歯冠幅径をコンポジットレジンにて広げているため、他の歯に比べ歯冠部が大きくなり、両中切歯が目立つ様になってしまうことが判明。このため、両中切歯においては歯冠部中央の歯頸線のみを理想的な位置と、近遠心的な歯肉整形は最小限にとどめた。結果、歯冠の形態は三角形に近い形になったが、両中切歯が目立つことなく歯頸線がそろっている。また、両犬歯部においては歯槽骨も過剰増生しており、歯槽骨整形術を行うことにより、より自然に歯冠部から歯肉へ移行している。 歯周形成外科手術は、術式自体は従来の方法を用いるが、クライアントの審美的な要求が高いため、入念な術前診査とシミュレートが必須であると言えよう。
笑った時に歯肉が見えすぎること(いわゆる歯茎笑い:ガミースマイル)を改善して欲しいと来院。精査の結果、歯の大きさに問題はなく、歯肉の過剰被覆が原因と判明した。正常な歯肉レベルはセメント―エナメル境から1~2mm歯冠側に位置するが、何らかの原因により、歯肉レベルが正常ラインよりも歯冠側に位置することがしばしば見られる。歯肉レベルが歯冠側に位置すると、初診時の写真のごとく、歯は短く見え、笑った時に歯肉の露出が多く審美障害を呈する。ガミースマイルは審美的障害のみならず、心理的障害を与える一因となる。実際、クライアントは笑う時に手を口元に持っていく癖がついていた。 精査の結果歯肉の過剰被覆が原因であれば、写真上や模型上で理想的な歯頸線をシュミレートし歯肉整形を行うだけで驚くほど簡単に綺麗に修正が可能である。本症例はクライアントの年齢が20才代前半ということもあるが、マイクロスコープ下における丁寧な歯肉整形術により術後1週間で創面はほぼ完治している。