ここでは、実際に行われた症例をご紹介しています。詳細をご覧になる方は各症例をクリックして下さい。
本症例は30歳代の男性で、前歯部の審美改善を希望して来院。前歯部は2年ほど前に米国ボストンで審美歯科治療を受けたと言うが、装着されているクラウンはレジンジャケット冠で、その適合は悪い(Fig.1)。クラウンの内部の処理は更に悪く、二次カリエスのため、右上犬歯と側切歯は抜歯となり、インプラントを埋入。レジンジャケット冠を利用してプロビジョナルを作製した(Fig.2)。支台は全て再製した(Fig.3)。抜歯即時フラップレスにてインプラントを埋入することによりインプラント-インプラント間の歯間乳頭を温存することができる(Figs.5,6)。リップサポートを得るために上部構造体は唇側に突出気味にせざるをえなかったのが、少々残念ではあるが、クライアントは大変満足している(Fig.4)。歯肉のバイオタイプはシン・スキャロップであったが、インプラント周囲に温存された歯間乳頭と辺縁歯肉は安定している。Fig.7 は上部構造体装着時で、Fig.8は1年後の状態であるが、歯肉に変化は認められない。
本症例は40歳代の女性で、全顎的補綴治療を希望し来院。上下顎ともに前歯部のみ残存しており、臼歯部は欠損している(Fig. 1)。精査の結果、十分な骨幅がなく、スプリットクレストを併用してインプラントを埋入。十分な骨幅を得ることが出来、理想的な位置にインプラントを行うことが出来た(Fig. 2)。
本症例は40歳代の女性で、全顎的補綴治療を希望し来院。上下顎ともに前歯部のみ残存しており、 臼歯部は欠損している(Fig.1)。精査の結果、十分な骨幅がなく、スプリットクレストを併用してインプラントを埋入(Fig.2)。十分な骨幅を得ることが出来、理想的な位置にインプラントを行うことが出来た(Fig.3)。
本症例は50歳代の女性で、左側上顎前歯部のインプラント治療を希望し、紹介にて来院。顎堤の吸 収は軽微であり、歯肉の厚みは厚い(Figs. 1- 2)。通法どおりインプラントを埋入するが、後に歯間乳頭を形成する上で、唇側や歯槽頂切開線は審美的に不都合となることがあるため、口蓋側よりの切開 とした(Fig. 3)。2次手術時の歯肉の状態は良好で、審美ゾーンに切開線の傷跡は認められない(Figs. 4- 5)。歯間乳頭を形成するために、2次手術はフラップレスにて行い、ヒーリングアバットメントの選択を適宜行う(Fig. 6)。上部構造体作製時に歯間乳頭の形態を考慮して作製することで、平らであった顎堤はインプラントに沿ったスキャロップ形態を付与することが出来、インプラント間の歯間乳頭を形成することができた(Fig. 7)。このように症例選択を的確に行い、術式を工夫をすれば、インプラントであっても歯肉と調和を保った上部構造体を作製することは可能である。(Figs. 8- 10)。
本症例は40歳代の女性で、右側上顎小臼歯部の破折の可能性を指摘され来院(Figs. 1- 2)。頬側のポケットは一部深く、また、CTからも破折が確認された。頬側歯槽骨の破壊は軽微であることから、抜歯即時インプラントの適応症と判断し、抜歯窩を極力温存できるように注意を行う(Fig. 3)。特に、近心歯間乳頭と頬側辺縁歯肉へのダメージは注意が必要と思われる。抜歯した歯を見ると、頬側に根尖まで及ぶ破折線が認められた(Fig. 4)。抜歯窩を調整し、インプラントを埋入(Fig. 5)、プロビジョナルを作製する(Fig. 6)。6ヵ月の治癒時間を待ち(Fig. 7)、2次手術もフラップレスにて行う(Fig. 8)。審美性とメインテナンス性を考慮し、上部構造体の接続方式は舌側からのサイドスクリュ方式を採用(Fig. 9)。機能性、メインテナンス性、審美性、全てにおいて理想的な上部構造体が装着されている(Fig. 10)。
本症例は50歳代の男性で、上顎前歯部の歯冠修復を主訴に来院(Fig. 1)し、縁下カリエスならびに歯根破折(Fig. 2)によりインプラント治療の可能性を求められ紹介を受けた。歯肉の生物学的形態はシック・フラットタイプであり、破折線による周囲歯槽骨の破壊ならびに周囲歯肉の炎症は軽微であることから、抜歯後即時にインプラントを埋入することとした(Fig. 3) 。この際、当時(2002年)抜歯後の顎堤の吸収を防ぐ目的から、フラップレスにて抜歯即時インプラント埋入が報告されだしており、本症例も適応症と判断し、その術式に則り施術した(Fig. 4) 。 最近の研究報告から、抜歯後、即時にインプラント埋入しても顎堤の吸収は防ぐことは出来ないという報告も見られるが、本症例のように、周囲組織の破壊が軽微である場合、この術式は明らかに審美的な有意性を見ることができる。術後4年、20年を経過するが歯頸線の変化は皆無であり、隣在歯との調和を保っている(Fig. 5) 。
本症例は40歳代の女性で、下顎臼歯部のインプラント治療を希望して紹介を受けた。欠損部は高度の骨吸収を認め(Fig. 1)、幅には問題がない(Fig. 2)が、下顎管までの距離が少なく十分な長さのインプラント埋入するには、垂直方向に約3mmの骨増生(GBR)が必要となった(Fig. 3)。1次手術時に採取される自家骨を用い(Fig. 4)、ゴアテックス膜を併用し骨増生を行った(Fig. 5)。この際、内部のボリュームが増えるため、フラップ弁の閉鎖は困難となる(Fig. 6)ため、減張切開を入れ(Fig. 7)、創面を完全に閉鎖する(Fig. 8)。骨増生のポイントは、減張切開と縫合にあるので、丁寧な処置が必要となる。術後2週間で抜糸を行うが、創面の裂開がないかをチェックする(Fig. 9)。1次手術後数ヶ月で2次手術と同時に、ゴアテックス膜を除去(Fig. 10)。直下には新生組織を認める(Fig. 11)。カバースクリュー上の新生組織を除去しヒーリングアバットメントを設置。付着歯肉の確保を目指し、縫合は緊密に行わない(Fig. 12)。2週間後に抜糸を行うが、ヒーリングアバットメント周囲に角化歯肉を認める(Fig. 13)。上部構造体は高精度の舌側サイドスクリュー方式を採用しているため、フレームとアバットメントの試適を必ず行い(Fig. 14)、口腔内でろう着用のインデックスを採得する(Fig. 15)。口腔内のろう着用インデックスは非常に重要で、この作業により印象材や模型材の数μmの誤差を解消することができる。舌側サイドスクリュー方式では、セメント方式と違い、僅かな誤差(数μm)で装着が出来なくなるので注意が必要である。良好に管理されたヒーリングアバットメント周囲の歯肉に炎症症状はなく(Fig. 16)、また、ヒーリングアバットメントにもプラークの付着は極めて少ない(Fig. 17)。審美的にも、機能的にも十分な上部構造体が装着された(Fig. 18)。
欠損部は3ヵ月ほど前に齲蝕により抜歯されており(Fig.1)、骨幅は狭くなっていた(Fig.2)が、CT検査の結果、骨幅は7mm程度あることから、通常のインプラント治療が計画された。術後、頬舌的に十分な歯肉の量も確保され(Fig.3)、審美的な上部構造体が装着された(Fig.4)。本症例のように、抜歯の原因が齲蝕である場合、歯槽骨の吸収が少なく、また、患者の年齢も若いことからインプラントには最適な症例と思われるが、このような恵まれた(施術しやすい)ケースは稀である。
本症例は50歳代の女性で、下顎臼歯部のインプラント治療を希望して紹介を受けた。患部は重度の骨吸収を認め、骨の高さには問題は無かった(Fig. 2)が、骨幅が狭くインプラントを行うことは困難であった(Fig.1)。CTの結果、骨幅は3mm程度しかなく、スプリットクレストを併用してのインプラント治療が計画された。スプリットクレスト(歯槽 頂分割術)とは、歯槽頂に1cm程度骨を分割し、その間にインプラントを埋入する(Fig.3)。GBRと比べ、骨の増生が確実とされている。通常、 膜(メンブレン)の設置は不要であるが、骨が一部離断しており、万全を考え本症例では設置した(Fig.4)。術後十分な骨の増生を得ることが出来、イン プラント治療が可能となった(Figs.5,6)
精査の結果、数本の要抜歯と再生療法による治療が計画された。抜歯された左上第一大臼歯相当部は、上顎洞までの距離は少なく(Fig. 1)、インプラント治療を行うためソケットリフトによる上顎洞拳上術を行った。同部位における骨量の不足は日本人では多く、インプラント治療を行ううえで大きな障害となることが多い。ソケットリフトによる上顎洞拳上術は簡便でなおかつ安全な上顎洞拳上を行うことが出来るが、上顎洞粘膜を穿孔させずに、インプラント周囲の骨をドーム状に拳上させるには、熟練を要する。本症例では、インプラント周囲には十分な骨が増生され、骨もドーム上にインプラントを指示していることがCTからも確認できた(Fig. 2)。
数年前に4前歯を補綴したが、2ヶ月前より、右上中切歯にフィステル (瘻孔)を認めるようになった(Fig.1)。精査の結果、歯根も外部吸収して短くなっており、また破折線、歯根嚢胞も確認できたことから保存不可能と判 断した(Fig.4)。抜歯後の補綴を相談したところ、インプラント治療を希望され、抜歯即時インプラント埋入を行った(Fig.5)。抜歯即時インプラ ント埋入では、抜歯窩の徹底した掻爬ならびに無菌化が必須である(Fig.3)。クライアントのQOLまたは術後の審美性確保のために抜歯即時インプラント埋入後、即時にプロビジョナルレストレーションを調整した(Fig.6)。抜歯即時にプロビジョナルを調整し、もとあった歯肉の形態を温存することによ り、良好な歯肉形態を得ることが出来る(Fig.7)。1次手術をフラップレスで行い、極力、周囲組織の退縮を抑えることができたので、2次手術もフラッ プレスで行う(Fig.8)。この2次手術をフラップレスで行う方法はどのインプラントシステムでも行うことが出来るわけではない。本症例にはアストラ テックインプラントを使用。 再び、エマージェンスプロファイルを温存するために、プロビジョナルをハイポリッシュし調整する (Fig.9)。ラボサイドへ色調のオーダーをするが、両側切歯は標準的な色調となっているため、比較的色の調和は簡単である(Fig.10)。抜歯即時 インプラント埋入からほぼ7ヶ月。歯肉形態の変化を最小限に抑えた情報を正確にトランスファーする(Fig.11)。インプラント部も重要だが、隣在歯の マージン下部最低0.5mmの印象が印記されていないと、ラボサイドへ正確に情報が伝わらない(Fig.12)。歯科医師のパーフェクトな仕事にのみ歯科 技工士もパーフェクトな仕事を提供することが出来ることを常に念頭に置くことは大事なことである。若干の歯肉退縮を改善するため、歯頸部をレスカウンター (Sシェイプ)にし(Fig.13)、約一ヵ月後には歯肉のせり上がり(クリーピングアタッチメント)がおきてきた(Fig.14)。更に1ミリ程度歯冠 側に歯肉を上げるために、レスカウンターを与え(Fig.15)、最終的にインプラントと天然歯の調和が取れ満足のいく結果となった。
本症例は40代の女性で、上顎前歯部の審美改善を主訴として来院した。全顎的に歯周病もあり、右上小臼歯部(15,14)は予後不良のため抜歯となっため、欠損補綴はインプラントとした。また右下大臼歯(47)は、欠損側に傾斜していることから、小矯正(アップライト)を行い、陶材焼付鋳造冠ブリッジとした。