ここでは、実際に行われた症例をご紹介しています。詳細をご覧になる方は各症例をクリックして下さい。
上顎右側中切歯(11)の陶材焼付鋳造冠の切端部が欠けたために来院。4前歯(12 11 21 22)の再治療と歯肉のメラニン色素の着色除去を希望。エックス線検査の結果、根管充填の不備も認められたため、再根管治療を行った後にファイバーポストを装着し、セラミックスクラウンを装着。後に、メラニン色素を電気メスで除去した。術後の写真は、メラニン色素除去後10ヶ月であるが、後戻り傾向は見られず、良好な経過をたどっている。
臼歯部の崩壊と、極度のブラキシズム(歯ぎしり)のため、前歯部の切端は異常咬耗を示していた。臼歯部はブリッジとインプラント治療により咬合挙上を行い、前歯部はコンポジットレジンによる修復を行うことを計画した。前歯部の形態は臼歯部での垂直的な咬合と顎運動時の動的な咬合に深く関与する。特に臼歯部の垂直的咬合関係が低位になると、下顎前歯部は上顎前歯部を突き上げ、上顎前歯部のフレアアウトか歯冠部の異常咬耗を引き起こす。前歯部だけの修復では物理的に不可能であり、仮に前歯部だけの修復で審美改善が出来たとしても、速やかな破壊が再び起こることになる。本症例でも臼歯部の垂直的咬合関係を改善したのちに、前歯部の修復を行ったが、とくにブラキシズムへの考慮としての犬歯ガイドは必須である。通法に従い、コンポジットレジンで修復した後に(Fig.2- 4)、カットバック(Fig.5)を行う。切端部だけではなく、歯面とコンポジットレジンとの移行部も細かなカットバックを入れレイヤリングテクニックを用いることにより、移行部が目立たなくなる。ブラキサーに対する咬合再構成では、犬歯ガイドをやや強調して行うことにより、臼歯部ならび に4前歯の咬耗は防止され、歯ぎしりも停止させることができる。
前医にてプロビジョナル(仮歯)を装着したが、歯肉辺縁の不ぞろいにより著しい審美障害を呈している(Fig.1)。装着されていたプロビジョナルを修正したところ、歯頸線の不調和が明らかとなったため(Fig.2)、歯肉整形を行うこととした(Fig.3)。約1ヶ月の治癒期間を待ち(Fig.4)、最終補綴へと移行した(Fig.5)。 支台はファイバーポストを用い、クラウンはオールセラミックスとした。写真(Fig.6)はオールセラミックスクラウン装着後1年の経過であるが、歯肉の後戻りは認められず良好な状態を保っている。
上顎前歯部の審美障害を主訴に来院。4前歯は失活しており、右側切歯は唇側に傾斜していた(Before)。クライアントは形態的のみならず、色調の改善も含めて前歯部の審美回復を希望しており、両犬歯はラミネートベニア、4前歯はオールセラミックスクラウンによる修復を行うこととした(After)。 オールセラミックスクラウンの施術に先立ち、4前歯はファイバーポストを植立し、オールセラミックスの特徴を最大限に生かすように配慮した。両犬歯は側方ガイドを変えないためにも舌面形態に変更を与えることのない、ラミネートベニアにて審美回復を行った。
精査の結果上顎前歯部は、左上中切歯(赤矢印)以外は歯冠の崩壊が著しく、オールセラミックスクラウンで、また、左上中切歯(赤矢印)ラミネートにて修復を行う計画を立案。更に、両中切歯間の正中離開が存在し、通常の歯冠形態では、審美的な問題が生じてしまうため、歯冠形態をハーフポンティックにすることにより閉鎖して審美性を高めた。
精査の結果、両中切歯、左上側切歯(赤矢印)は失活しておリ、根管治療の後に、ファイバーコアを植立。補綴はオールセラミックスによる全部被覆冠とした。また、右上側切歯(青矢印)は切端が咬耗しておリ全体的なバランスを考え、コンポジットレジンによる修復を行った。クライアントは、歯冠部の色の他に、左側切歯の舌側傾斜と右側中切歯の近心捻転を改善したいと希望していた。また、顔型は卵円形で小顔であリ処置前(ビフォー写真)の前歯の形態では調和が取れていなかったため、術後(アフター写真)の様な形態に変更することにより顔形との調和ならびに歯列不整の改善を行った。
矯正治療後、前歯部の審美障害も改善したいとのことで紹介を受けた。 精査の結果、左上2番(赤矢印)以外は失活歯で、金属コアが入っていたため、ファイバーコアに変更した。オールセラミックスによる治療で、生活歯と失活歯が混在する1ブロックで治療を行う場合、光の加減で、同じシェードにしても色が違って見えてくるばかりか、歯肉に光の透過性の相違から生じる明暗ができてしまうことがある。 本症例のような場合、失活歯を極力生活歯の自然感に合わせるには、コアから非金属のマテリアルを選択し、人工エナメル質とも言うべきオールセラミックスにて修復することが、より天然歯に近い結果をえるポイントと言える。
咬合診査の結果、ラミネートベニヤで治療が可能と判断したが、右上顎犬歯の咬耗(赤矢印)を改善させないと、右側方運動時に同側側切歯が干渉してしまうため、犬歯のビルドアップを行う治療計画を立てた。 右犬歯はコンポジットレジンにてビルドアップし、側方運動時のガイドは犬歯誘導とした。また、左右側切歯はラミネートベニヤにて、ほとんど削ることなく審美性の回復を行った。
上顎前歯部は度重なるカリエス処置のためCRの継ぎ接ぎとなっており、また二次カリエスやエナメル質の実質欠損や歯列不正などもあり極度の審美障害を呈している(Before)。精査の結果、歯肉整形を行い、上顎前歯部の歯冠長を長くし総合的な審美回復治療を立案したが、外科的な侵襲は極力さけたいという希望で、現在の歯肉レベルは変えずに、補綴的に歯冠長を長くすることとした。しかし暫間被覆冠にて歯冠長をのばした形態を提示したところ、クライアントの家族の方々に失笑され、極力、もとの歯冠長で修復をはかりたいと希望。顔貌も小顔で、下顎前歯部の歯冠も短いということからも、最終補綴は写真のようなものとなった(After)。
患歯(白矢印)は他院にて根管治療を綴り返すが症状の改善が見られなかった。精査の結果、患歯はパーフォレーション(穿孔)を起こしており、保存不可能と判断し抜歯となった。患歯の抜歯後、ブリッジにて欠損補綴を行うところ、支台歯の遠心部(赤矢印)臼後隆起の肥厚を認め、歯冠長が不足している(Fig.1 )。エックス線検査とボーンサウンディングの結果、13mmの線維性歯肉の増殖と判断でき、フラップ手術ではなく、電気メスによる歯肉整形を行った(Fig.2)。Fig.3は術後1週間の状態であり、良好な治癒を観察できる。外科的な侵襲を加えた後の歯肉の安定には約3ケ月程度の期間が必要であることから、術後3ケ月を待って、最終支台歯形成と印象採得を行い、陶材焼付鋳造冠ブリッジを装着した(Fig.4)。
患歯(白矢印)は充填されたコンポジットレジンが古くなっており、またエナメル質の亀裂も認められるためラミネートべニアを行うこととした。しかし患歯の隣の歯(赤矢印)は数年前にラミネートベニアを他院にて行われており、シェード(色)を合わせるのは難しい。前歯2本の施術をクライアントに勧めるが、同意を得られなかったため、極力シェードを合わせると言うことで患歯のみ、ラミネートベニアを行った(術後-1)。術後やはり、微妙な色の違いが生じたため、側切歯のコンポジットレジンのやり直しも行い、両中切歯にラミネートベニアを新製した(術後-2)。
前歯部歯肉の腫脹を主訴に来院。患歯は数年前に外傷により脱臼して再植している。歯根部は外部吸収しており、動揺度は3度。保存不可能と判断し抜去した。抜歯の際に、歯槽骨の吸収を最小限にするため、抜歯窩に骨移植材を充填している。両隣在歯は未処置歯なため、インプラント治療を選択したいが、クライアントは職業上、前歯部に外傷を受けやすい。そのような場合、インプラントは禁忌であるため、歯質の削除をせずにすむ、接着性ブリッジによる欠損補綴を選択した。近年の接着性ブリッジは接着技術の向上により、ほとんど歯質を除去しなくても良好な予後を得ることができる。また、強い外力が加わった場合でも、隣在歯への影響も少なく、今回のようなケースでは第1選択と考えられる。