ここでは、実際に行われた症例をご紹介しています。詳細をご覧になる方は各症例をクリックして下さい。
第一小臼歯は歯内処置が不十分だったため再根管治療の後、築造。第二大臼歯は変色してしまった前装冠を除去の後プレパレーションをし直した。 本症例では、歯ぎしりの考慮から、陶材焼付鋳造冠を選択した(施術当時)。
全顎的に軽度の歯周炎にも罹患していたため、全顎的なエックス線診査もあわせて行ったところ、右上中切歯ならびに犬歯の根尖部に根尖病巣を認めた。通法に従い、歯内処置の後、築造。セラミック冠(エンプレス)にて歯冠修復を行った。 陶材冠のプレパレーションには応力が集中しづらいような形態を付与するよう細心の注意を払う。また、フィニッシングラインより最低0.5mm根尖側まで印象採得が行われる事が望ましい。0.5mmの印象採得面が、適切なエマージェンスプロファイル(歯肉からの立ち上がり)を再現する際、ラボサイドの重要な指標となる。最終補綴物は歯肉からの立ち上がりに自然感があり色、形態ともに隣在歯にマッチングしている。
患歯は失活歯で変色しており、再根管治療の後、全部被覆冠タイプの歯冠修復を提案。ブリーチング(漂白)も提案したが、術後、歯質の脆弱化や破折の危険性を示唆したところ、帯環タイプの歯冠修復を希望。また、職業上、強い光を当てての撮影の機会が多いため、審美的に有利なオールセラミックスの歯冠修復を提案。オールセラミックスは通常の陶材焼付鋳造冠と異なり、歯頸部付近の歯肉の色調に自然感があり、強い光(カメラのフラッシュなど)による不自然な色調を少なくすることができる。理想的には両中切歯の歯頸線をそろえるべきであるが、外科的な施術までは希望せず。下顎前歯部の歯肉炎はスケーリングとブラッシング指導により改善している。
本症例は30代の女性で、下顎臼歯部のインプラント治療を希望し紹介を受けた。臼歯部は第一小臼歯を除き、全て抜去されており著しい咀嚼不全を認める(Fig. 1)。現在入れている義歯は数年前より使用しているが、違和感が著しくインプラント治療を強く希望。CT診査の結果、一部骨量が不足していたため(Fig. 2)、ドリリング時の切削骨片(Fig. 3)を採取しゴアテックス膜(Fig. 4)を用いた骨増生法(GBR法)を併用してインプラントの植立を行った。術後の経過は良好で、膜の露出もなく(Fig. 5)、3ヵ月後の2次手術時において、インプラント周囲の骨欠損は完全に新生骨で満たされていた(Fig. 6)。良好な周囲組織を得る為には良好な術後管理が必要である。インプラント周囲には炎症症状は認められず、健康な歯肉により形成されたインプラント周囲組織を観察できる(Fig. 7)。通法により上部構造体を作製。歯冠形態、咬合機能共に限りなく元の状態に再現されている(Figs. 7,8,9)。
右上小臼歯辺りが咬むと痛いとの主訴で来院。デンタルX線写真を撮影すると、根尖部の根充材が粗であることから、感染根管処置を開始、根充材を除去し、根管内の洗浄を行い、根尖からの排膿も認められなかった為、根管長測定後、通法に従い根管充填を行った。その後痛みは改善された。
右上前歯に違和感があるとの主訴で来院。デジタルX線写真撮影により右上2番の根尖部遠心に透過像が認められた。感染根管治療を行い、根充後違和感は消失。術後のレントゲンは7年後に撮影したものであるが、透過像は消失している。
左下の親知らずに痛みがあり来院。デンタルX線写真を撮影したところ左下7番遠心に透過像を認めたため、8番の抜歯後、治療を開始。7番は最初は痛みがなかったが、8番抜歯後に冷たいものにしみるようになり、痛みが増加したため抜髄処置に至る。遠心根根尖が湾曲しており、ニッケルチタンファイルにて根管治療行う。
右上前歯が痛いとの主訴で来院。歯肉の腫れはないが、何もしなくても痛みあり。デンタルX線写真を撮影したところ右上1番・2番の根尖部を含む大きな根尖病巣と思われる透過像を認める。根管治療を行い根充後しばらくは違和感が続いたため、違和感消失後、補綴処置に至る。術後8年を経過しているが問題なし。
右上6番根管治療を進めると第4根管が見つかり、4根管の根管治療を行う。 他全顎的に治療を進める。根充後のCT撮影により4根とも根充材が密に充填されていることが確認される。
左上の歯が冷たいものにしみて、咬むと痛いとの主訴で来院。左上5番に齲蝕による実質欠損が認められ、左上5番・6番に打診痛があった。デンタルX線写真を撮影したところ左上5番遠心に透過像を認め、6番の根管内にシルバーポイントと思われる像が認められた。5番抜髄後根管充填後には咬合痛消失するが6番の咬合痛は消失しないため、根管治療を開始する。マイクロスコープ下にてシルバーポイントを除去し、根管充填を行い、症状は改善された。
前医に破折器具が根管内にあることを指摘され、当院に紹介され来院。デンタルX線写真を撮影したところ近心根にファイルの破折が認められ、根尖相当部に透過像が認められた。自覚症状はない。マイクロスコープ下にて破折ファイルを除去し、根管充填を行う。その後患者の都合で来院が途絶えるも、1年6か月後に再来院し、補綴から治療再開を希望されたため、デンタルX線写真を撮影したところ、近心根根尖相当部の透過像も認められない。自覚症状もなし。
上部構造物の脱離を主訴に来院。デンタルX線写真を撮影したところ近心根に器具の破折が認められ、根尖相当部に透過像が認められた。咬むと違和感があるとのこと。根充材を除去すると近心根内壁にストリッピング(パーフォレーション)が認められた。マイクロスコープ下にて破折ファイルを除去し、MTA系のシーラーを用い根管充填を行う。 2年3か月後メインテナンス時にデンタルエックス線写真撮影を行う。痛みもなく経過は良好である。